この建物を目当てに訪れる人もいます。 すっかり土器づくりに没頭していた筆者ですが、最初はこの敷地全体の造形に魅力を感じて足を止めたひとりでした。 ある日、モダニズム建築に大変お詳しい訪問者に、この建物の背景を伺うことができました。
この「金鈴塚遺物保存館」は、1951年に木更津市で発掘された金鈴塚古墳の埋蔵物(金のすず)を保存・展示するために計画され、当時の文部省文化財保護委員会の助成を受け、木更津市と千葉県によって建設されました。建物の竣工は1956年。かつて太平洋戦争時航空隊基地だった木更津市の平和的転換策のひとつです。
静かに魅力を放つこの「金鈴塚遺物保存館」ですが、残念なことに、2025年度中に室内の撤収を完了し、2026年度には解体する計画だそうです。 建築遺産として維持するよりも、新しい時代に向けて太田山公園を造り変えるのも選択肢です。 市政・財政により解体されるのはやむを得ないでしょう。
ただし、文化財という認識が少なからずある建物については、予め写真やデータ(LiDARによる点群データ)に残す処置を検討してほしいところです。 もちろん、有効活用案による建物の長期保存が望まれますが、それが叶わない場合でも記録保存は必須であることは、今回、筆者がこのブログのための写真撮影やCG化作業で痛感したことです。 日々建物の状況は変わっていきます。
しかし、本当に解体すべき建物なのでしょうか。
正式な調査によるものではありませんが、複数の建築士からの意見では、耐震性の問題は見受けられないとのことです。 実際、土器づくりで終日室内で過ごしていても、雨漏りも無く、対候性の高さを感じます。 土器サークルで使用しているので、既に空調や照明も備わっています。隔週の日曜日以外にも稼働日を増やすことも考えられそうです。
ここに訪れると誰もが気づくのは、建物のサイズが絶妙で居心地が良いことです。そもそもの成り立ちが展示館ですから、ギャラリーカフェとしての利用や、こども食堂としても適当な広さかもしれません。音の反響などに問題が無ければ、小規模な演奏会場としての利用も考えられます。
様々な法令をクリアする必要はありますが、保存検討の余地はあるように思えます。